「つかえる!実際にVPをつくるには」 3/3

最後は発注先を考える上での「VP発注を成功させる5つのコツ」をご紹介します。

成功のコツ④ マッチした制作会社をねらえ

目的にあった制作会社を選ばれていますか?「なんとなくしっくりこない」なんて漠然とした感想をお持ちであれば、選んだ制作会社がそもそもマッチしていないかもしれません。

近年、VP制作は参入障壁が下がった分野だと思います。デジタルメディアと機材の普及によって、さまざまなバックボーンや得意分野をもった業者が受注制作を行っています。CF系、番組系、印刷系、WEB系など。

    • どんな撮影スタイル?
      まず、一朝一夕には撮影ノウハウは身につかないので、そこを重視するかがひとつのポイントになると思います。王道スタイルは、CF撮影などと同じように案件に応じてリソースを手配してゆく形です。専門スタッフを集め、あらかじめ思い描いたイメージを実現させるスタイルだと思います。

      次に番組制作と同じENGスタイル。ワンボックスカーに自前機材を積み、カメラマン、技術、音声(照明の場合も)がチームになってフットワーク良く撮影にのぞみます。全国の主要都市にはこのスタイルの撮影(制作)会社が大体あると思います。

      新しい形として、カメラマンと演出を兼ねるシネマトグラファーが活躍するスタイル。ミニマムな機材で臨場感を狙い、そのまま素材を活かして撮る場合などに向いていると思います。シネマトグラファーのセンスが物を言うので、同じ方なら良くも悪くもテイストは似てくると思います。

    • 制作進行に注意?!
      また、窓口担当が段取りに長けている方が進行はスムーズ。企画段階で完成形をイメージしづらいVP制作は、撮影までのコミュニケーションがポイントです。基本は撮影したもので後が決まりますので、映像コンテンツの制作は他媒体の制作とはすこし違うと思います。
    • 制作体制の内と外?
      あと、社内に撮影、編集やCGの制作機能があると柔軟な対応が望めますが、外部スタジオと連係をとる制作会社は品質管理が長けている場合が多く、総じて品質が良いように思います。ただ、作品分数が長く、変更や修正が多い場合、コストは膨らみやすくなります。紆余曲折しそうな案件は前者がオススメです。
    • 「映像」と「動画」は時代のギャップ?
      制作会社によって「映像」と「動画」というフレーズの使い方に違いがあることに気づかれると思います。ここも相手を知るヒントが。

「動画」というフレーズはもともとアニメ業界の専門用語で、インターネットの普及とともに一般化した言葉のようです。WEBで使われるモノのニュアンスが含まれます。

一方、以前からのVP制作では「映像」という言葉をつかうと思います。会社名にも「映像」「映画」「ムービー」「フィルム」など、映画にちなんだ名前が多いのも、なかの方の方向性をなんとなく想像させると思います。

 

わかりやすく書くために、~系という制作会社の分け方をしましたが、日進月歩でそれぞれがサービスの向上を目指し、人材の行き来もあり、バックボーンを活かした素晴らしい制作会社も数多くあると思います。

すこしでもマッチした相手を見分けるためのヒントになれば幸いです。

成功のコツ⑤ ワークフローの工夫でコストを抑えろ

予算増やさず、VPをグレードアップさせるためには、お客さまと制作チームが一丸となって、企画を磨き、メリハリのあるコスト管理を行うことが大切です。

同じ目的で制作するにしろ、シナリオを重視する、撮影に注力する、CGやアニメを駆使する、編集にこだわる、音入れをオリジナルにする等々、制作にかける労力のウェイトもさまざまです。

いま、重厚にもスリムにも変幻できるデジタル時代のワークフローにおいて、クリエイティブ面でもゴールを設定しコーディネート力を発揮することが肝要。

ワークフローという道程は、全てを高級車で走らずともゴールできますし、車種を選んで圧倒的な魅力で走り抜くこともできます。

  • その単純作業、車で例ればF1のようなモンスター編集システムで行う必要がありますか?
  • 撮影はすべて同じグレードのカメラで行う必要はありますか?
  • 予算を割いても楽曲の効果はアップすべきではないですか?
  • プリビズ(大ざっぱに言えばCGでの撮影や合成のリハーサル)を行う方が効率的ではないですか?

ワークフローの提案はさまざまあります。

いきなり内容そのものを進めようとせず、クオリティがかわる局面、コストが変わる局面を事前説明し、ワークフローの工夫について説明できる制作会社は信用がおけると思います。

VP制作の現場では、クオリティと柔軟性のバランスを絶妙に保つことが求められています。専門スタジオ並のクオリティと社内制作の柔軟性。双方をバランス良く持つ事がお客さまにとって理想的な制作環境だと思います。

いま予定しているVP制作で、どれくらいワークフローの選択肢に幅があるでしょうか? 制作会社にワークフローの工夫をたずねてみてください。

 

以上、「VP発注を成功させる5つのコツ」のご紹介でした。

映像コンテンツはこれからも多様化してゆくと思います。

さまざまな企業マーケティング活動を支えるツールとして、VPの使いどころをマッチさせ、制作アプローチを洗練させることが、われわれVP制作業者にとっても良いことだと信じております。

 

 

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  1. VP発注を成功させるコツ Top
  2. 成功のコツ➀ VP(ビデオパッケージ)ってなに?
  3. 成功のコツ② VPのおいしい使いどころ
  4. 成功のコツ③ 目的別にポイントをつかむ
  5. 成功のコツ④ マッチした制作会社をねらえ
  6. 成功のコツ⑤ ワークフローの工夫でコストを抑えろ
  7. おまけ:サモエドフィルムの場合